第4章 ねえほら、愛してると言ってみなさいよ。
「たまにはデートとかしないと女じゃなくなるぜー」
私の顔を覗き込んだヤサカ君は嬉しそうにしていた。
どうやら これはデートじゃないよ ってこと、釘を刺したかったらしい。
馬鹿じゃないの?
あんたがいっつもこっち見てるの知ってるし、他の男友達の話したら機嫌悪くなるのも知ってる。
道を歩くときに車道側歩いてくれることも、さっき会った時だって私を見つけたら嬉しそうな顔に変わったことも。
今だって手、繋ぎたいんでしょ。妙にそわそわしてるから分かる。
でも私も馬鹿だから何も言わない。
きっとヤサカ君は私のことが好きなんだろうけど、絶対言わない。
私よりちょっと前を歩くヤサカ君の服を引っ張って、思いっきり上目遣いで言ってやった。
「歩くの早いよ」
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ねえほら、愛してると言ってみなさいよ。
隠していると思ってるヤサカ君の気持ちは筒抜けですよ。
どうせ言わないんだろうけど。
まあ、言わない距離を楽しんでいる私なので暫くはこのままで。
とりあえず目の前にある水族館を思い切り楽しもうと思う。
-end-