第8章 別稿 私の気持ちは、難解で。
梅雨の時期になりました。私は雨が大好きなのです。
外に出ない言い訳にもなりますし何より音が好きなのです。
しとしとと静かな音も好きですが大きく響く大雨の音のほうが私は好みです。音が自分の存在を掻き消すような耳に響く豪雨がとても心地良く感じます。
この時期は静かな雨が多いのです。
そして何故かここ数日、私の周りはとても静かでした。
掃除当番だったので教室のゴミ箱を持って廊下を歩いていると数日聞かなかった声が後ろから聞こえてきました。
勿論、丹羽先輩です。
「キョーちゃん、なにしてるの?」
「掃除当番です」
丹羽先輩は私が両手で支えて持っていたゴミ箱を片手で軽々と持ち上げて私の横に並びました。
背は低いものの男の人なんだということを再確認した出来事でした。
「キョーちゃん、久しぶり」
「久しぶり、ですか?」
丹羽先輩は自分が修学旅行に行っていたことを教えてくれました。
此処最近静かだったのは3年生が学校に居ない所為だったのです。
丹羽先輩はゴミの収集場所からその後も私の教室までゴミ箱を運んでくれました。
教室に戻ると其処には誰も居ません。
掃除の最後にゴミ箱を運ぶので当たり前といえば当たり前でした。ほかの掃除係の方たちは部活や帰路へと向かったのでしょう。