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言われてみれば、単純で。

第2章 君との出会いは、偶然で。


「嘘つきは嫌いですよ」

「だろうね。でも今キョーちゃんに興味持ってるのは本当」

「今夜の相手はしませんよ」

「見てれば分かる」


気付けば日にちは変わっていて閉店時間間近のようだった。
ラストオーダーを聞かれ、最後に一杯ずつドリンクを頼んだ。

キョーちゃんは覚束無い足取りで化粧室に向かったので俺は飲み物を持ってきた店員を呼び止め会計を済ませた。




「あんな酔っ払ってる藤崎さん初めて見ましたよ」

その時、店員が興味津々といった様子で俺に話しかけてきた。

俺のペースに合わせて飲んでたからかもしれない。
結構強い方だし、ペースも早い。もともとアルコールは好きだ。
適当なこと言ってもそれの所為にできる。

今日はそんな事していないはずだけど。

キョーちゃんは口先では距離をとろうとしてる。
だけどこの店員の話を聞く限り、警戒はされてないみたいだ。


「藤崎さんをあんなに酔わすなんてお兄さん何者なんすか」

「俺はただの中学時代の先輩のひとりなだけですよ」

「藤崎さん、いつもより上機嫌だから気になってたんすけど
中学のときの先輩さんでしたか」

彼は一通り話し終えると厨房のほうに姿を消した。


スマホに入ったキョーちゃんの連絡先をもう一度確認していると
彼女は俺の隣に戻ってきた。


「あれ?お会計は...」

「済ませたよ」

「いや私払ってないです」

「いいよ、奢らせてよ」

「じゃあ次飲むときは私が払います」

約束取り付けた覚えはないのに彼女の中で次はあるようだった。
昔の事とはいえ俺は先輩なわけだし、何となく気分もいいから払っただけ。
それなのに次の約束という大きなおまけがついてきた。

店を出ようとすると中から店主らしき人が出てきてキョーちゃんと立ち話。
その横でぼーっと話を終わるのを待っていると、彼は俺に キョーちゃんをよろしく、って言ってきた。
よろしく? 今日十数年ぶりに再会した俺になにをよろしくするのだろう。

言葉の選択に迷い俺は、また来ますとだけ伝えると、店主はにこりと笑った。

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