第2章 君との出会いは、偶然で。
「俺、キョーちゃんの事好きだったんだよね」
「それは有難う御座います」
「あの時は気付いてなかったけどね。
今でも好きっていったら吃驚する?」
「何年経ってると思ってるんですか」
「十数年?」
「さっき、懐かしいなあとか言ってたの誰ですか。完全に想い出語ってる言い草だったじゃないですか」
「それはそれ、これはこれ。久々にキョーちゃんに会ったらさ、思い出したんだよね」
頭で考えなくても口先から言葉がどんどん出てくる。
まあいつものことだしね。適当なこと言ってしまうのはもう癖だと思う。
彼女はのらりくらりと俺の言葉を流していく。
普段の相手ならこっちの目を意味ありげにみてたり、俯き気味になってみたりと反応を見せる。
それに引き換え今横にいるキョーちゃんはさっきと変わらない。
俺のことなんかより限定の何皿かの目の前の料理の方が大事みたい。
「キョーちゃん、もしかして結婚とか、しちゃった?」
「普通、彼氏居るとか聞きません?」
「いや、その程度なら奪えるかなーって。例え紙一枚の関係だとしてもその辺は配慮するよ」
「どんだけ自信あるんですか」
「十年以上好きなんだもん」
「さらっと嘘つかないで下さい」
好きだったのかどうかは、まあ自分でもわかんないけど多分、そう。
少なくとも彼女の言葉が頭から抜ける事はなかった。
この歳になってもまだ好きってどういう意味かよく分かってないのはそれを蔑ろにして来た所為なのだろうか。
誰にでも挨拶のように交わしたこの言葉。
多分、あの時の心境はこの言葉で合ってるんだと思うけど、俺の中では多分こうじゃないんだと思う。
そして、そんな言葉を気軽に吐き出していたものだから彼女にこれは伝わらない。