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言われてみれば、単純で。

第1章 おれのきもちはフクザツで。


卒業式が終わった。
クラスメイトの仲がいい友人達と写真を撮っていたら
驚く事に藤崎キョーが自ら話し掛けてきた。


「丹羽先輩。卒業おめでとう御座います。」

「キョーちゃん」

「何ですか?」

「初めてキョーちゃんから声掛けて来てくれたね」

「そうでしたっけ?」

「そうですよ」

俺達は、少し歩いて人通りの少ない校舎の陰に行った。
友人達が意味あり気にニヤニヤ笑うのが嫌だったし、
なによりも彼女と二人で話したかったから。
多分、彼女が言うにはこれが最後の会話になるはずだ。

「キョーちゃんから、声掛けてもらって、
 いい卒業プレゼントになったよ」

「それは良かったです」

「お礼にいいものをあげよう」
俺はそう言って学ランのボタンを外す。

「第二ボタンとか憧れるでしょ?」

「別に憧れません。それも丹羽先輩のでしょ?」

「またまたそんなー。俺は1個なんてケチ臭いことしないよ?」

「どういうことですか?」

「全部あげます。上から下まで。袖のボタンもあげます。
 だから手ぇ出してください」

「貰ったのはいいですけど、どこにしまえばいいですか?」

彼女の両手に一杯になったボタン。
確かにそうだよね。

「じゃあ、これ」

中学の名前が書かれた小振りの茶封筒。
俺がそれを広げると両手で一杯になったボタンをざらざらと入れた。
その封筒をくしゃっと折り、中が出ないようにしてまた彼女に戻す。
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