第8章 別稿 私の気持ちは、難解で。
「キョー。丹羽先輩に冷たすぎ。」
「あの人はあのくらいが嬉しいんだと思う」
私の選びきれない言葉をひとつひとつ丁寧に拾ってくれる丹羽先輩ならこのくらいでいいと思うのです。私が選び切る前に新しい言葉を掛けてくれるので私はゆっくりと次の言葉を考えることが出来るのです。
「そうなの?」
「多分」
勿論、この友人もまた、そのように私の言葉をうまく拾って私の心に考える隙間を与えてくれます。私は私に合ういい人たちに巡り合えた。そう思って前を向くと、足音を留めた丹羽先輩が階段の上でこちらを眺めていました。私と一瞬目が合うのを確認すると、また歩みを進めます。その消えゆく後ろ姿を眺めながら友人との会話を楽しみました。