第8章 別稿 私の気持ちは、難解で。
大嫌いな季節が終わり周りも長袖を着始めました。
私は廊下で友人と広葉樹の枯葉を見つめています。
彼女は何が楽しいのかと、丹羽先輩のようなことを言います。
風を肌に伝わらず視覚でそれが分かるという楽しみを伝えましたが首を傾げられました。
それでも私らしいと言ってくれる彼女は一番の友人だと思うのです。
「キョー。また丹羽先輩」
友人は呆れ顔で私にそう告げました。
丹羽先輩は私のことを好きなんだと彼女は言いますがそういうわけではないと思うのです。
私は私自身が少し変わっていると言われているのを知っています。
前よりは話せるようになったとはいえお喋りが得意ではないし周りのテレビや音楽の話にはついていけません。好きなアイドルなんて居ないです。好きな音楽家は教科書に載っているような人たちだというと笑われてしまうのです。
そんな私だから丹羽先輩は私を面白がっているのでしょう。
そう思いながらもお話をしてしまうのは丹羽先輩がとてもお喋りが上手だからなのです。
私もあのようにお話できるようになりたいという一心でお話をしてしまいます。
でも今は友人とのお話を優先しましょう。
丹羽先輩はいつものように満面の笑みで私に話しかけてきました。
「キョーちゃん、おはよ」
「丹羽先輩おはようございます」
私が友人と話している旨を伝えると丹羽先輩は大きく頷いて知っていると仰っていました。
挨拶をしたかっただけ、そのひと言だけ置いて走り去っていきました。まだ朝のあちらこちらで会話の輪が広がり、声が重なる階段を上がる足音が私のなかだけで静かに響いていました。