第8章 別稿 私の気持ちは、難解で。
「キョーちゃんなにしてんの?」
私はどきりとしました。
丹羽先輩には夏休み期間中、中学校には来ないと言っていたのに来てしまったからです。
私は読書感想文の本を借りに図書室に来た旨を伝えました。
家には本はたくさんありました。どれも何度か読んでしまっていたので新しい本に出会いたかったのです。
書店に行けば良いのですがそこには余りにも多くの本が並んでおり私には選ぶ事ができませんでした。
公立の図書館にも行きましたが、そこにも膨大の本の数、やはり選ぶ事ができなかったのです。
それに引き換え学校の図書室にはそれらに比べると本が少ないのです。
そして私たち中学生向けの本しかありません。
1年生の頃に書いた読書感想文は私の好きな作家さんの本の感想を書きました。
随分と複雑で大人の恋愛が書かれたものだったので先生に少し咎められました。
私は子供なのですこしばかり背伸びをしたかったのですが、それを公にすべきではない事を知りました。
丹羽先輩も読書感想文の本の選択を悩んでいるようだったので一緒に図書室へ向かいました。
そこには誰一人と居ないのにエアコンがついて少し肌寒くもありました。
午前中の図書室には委員会の方は居ないのです。
私はそれを知っていたのでこの時間に中学校にやって来ました。
人がいると集中できないのでひとりで本を選びたかったのです。
それなのに、つい話の流れで丹羽先輩を誘ってしまいました。
丹羽先輩は私が本を選び終えた頃を見計らって話しかけてきました。
いつもタイミングよく話しかけてくるのです。
私はまた、先輩のように冗談を言ってみたくなったので言ってみました。
丹羽先輩は笑ってくれています。
丹羽先輩なら、冗談を言えるのです。
丹羽先輩だから、いいんです。
いつも笑ってくれるのだから。