第4章 夏休み開けて
霧が晴れる頃に 93話 事実の発覚とその後
「んん~~~っ…はぁ~」
伸びをして安堵の溜め息をついた林は、冷静になってふと先ほどの慶の言葉を思い出す。
『俺の幼なじみと親友の彼女になにすんの』
(え~と…慶ちゃんの幼なじみは私でしょ?慶ちゃんの親友って霧ケ谷君だよね…その彼女って…)
「楓ちゃん!?」
行きなり大きな声を出した林に拘束を解く仁と解かれている楓はビクッと身を奮わせる。
「な、なに?林」
何事だと、楓が両手のガムテープを解かれ足のガムテープを自分で引きはがそうとするのを仁に止められている楓が言う。
「付き合ったの!?霧ケ谷君と!!」
(ああ、そのこと…)
仁も楓も同じ感想を抱いた後目を合わせてから仁は林にゆっくり返事をする。
「まぁ…昨日からなんだけどね。あ、慶なんで知ってるんだ、楓、あいつに言った?」
「言ってない」
「じゃあ勘か…」
秘密にしていたのに1日でばれるとは慶はいったいどうなっているのだろうという疑問を持ちつつも仁は言う。
(まぁ慶と霙ならいいか)
そう考え、あまり広めないようにと林に言ってからガムテープを取り終え、体育倉庫を3人で出た。
教室に戻る途中、八雲の指示だろう、林を捜索しているクラスメイト達に出会い、無事を伝える。
校内放送でその事実が伝えられ、ぞろぞろと教室に戻って行く1組の生徒達の中に慶や慶を追いかけた生徒達は見当たらない。
(まあ、あいつが捕まる事はないだろうけど、どこ行った?)
そう思いながら教室に入ると異様な光景が目に写る。
腕組みをして仁王立ちしている慶の前に正座をさせられている慶を追いかけた7人。
後に聞いた話しでは走り疲れて体力切れしたところを男女平等に頭の上からゲンコツが落とされ、あまりの痛さに戦意喪失してしまったらしい…