第4章 夏休み開けて
霧が晴れる頃に 89話 発見
長い、綺麗な髪をなびかせ目的地を決め走り抜けている少女は青い顔をしていた。
走る、走る、走る。向かう先は先ほど決めた。
体育倉庫。
先日の運動会の片付けが長引きまだ片付け切れなかった運動会用のテントやら杭やらをまだしまうため、鍵は開けっ放しであり人目もつかない。
もちろんずっと閉じ込めて置けば発見されるが大人数で探されるまでは見つからない、自分達は素知らぬ顔で出て行き、居場所は知らないとか他の人に連れて行かれたとかいって逃れられる。そう、考えたであろう女子達に舌打ちする。
(でも、もう、今!現行犯で見つけてやる!)
そうはさせまいと楓は更にスピードを速め、あっという間に体育倉庫の前に立つ。
扉は少し開いていた、冷たい独特の空気が倉庫の中から立ち込める様な気がして、少し身震いをする。
臆する事無く楓は少し開いている扉に手をかけ重い音をする扉を開く。
そこには口にガムテープを貼られ、手首と足を紐で拘束されながら寝転がされている林と、林を連れていった女子3人。更に他のクラスだろうか、見慣れない全身で不良を表現しているようなだらし無い服装の男子が4人ほどいた。