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霧が晴れる頃に

第4章 夏休み開けて


霧が晴れる頃に 80話 愛しさ

愛しい

それが仁の初めて迎えた感情。
他人との関わりが少ない仁だ、人を好きになるなんてことは無かった。

小学生の時、楓を女として見なかったといえば嘘になるが、恋愛的な感情を抱くことは1度もなく、そのことに違和感を覚えることも無かった。
しかし、中学校に入り、慶と林に出会い、人並みに他人と関わりわずか入学から6ヶ月の間に色々な事に触れ、経験し、大人びているにも関わらず未発達だった心を成長させた。

その結果として得た感情が愛情。

人を、楓を好きになる条件は揃っていた、後はきっかけが必要だった。
そしてそのきっかけは仁に取って皮肉にも、楓が素知らぬ誰かを思って表れた表情や声からだった。

「お前が惚れた理由もその人がどんな人かも分かった。名前は教えてくれるのか?」
聞くのが辛い、楓の微笑みが向けられる人がわかってしまう。
その恐怖を持ちつつもやはり気になるその男の名。
「そのつもりで此処に来たの…」
楓は意を決した顔で、しかし震えつつも仁のベッドから立ち上がった…
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