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霧が晴れる頃に

第1章 入学


霧が晴れる頃に 8話 委員会にて

「この保険委員会は主にトイレットペーパーの補充や石鹸の補充、それと、怪我人の看護を行います。」
保険委員会の担当らしい先生が委員会の説明をしていく中、仁はまた、眠そうにあくびをした。
それもそのはず、昨晩は結局4時過ぎまで起きていたのだから。

今は昨日五十嵐が言っていた委員会の集まりに来ている、並びは学年、クラスで分けられていた、そのため、隣の席には同じ保険委員の林がいた。
「先生、質問です、看護って具合が悪くなった生徒を看護するんですか?」
他のクラスの子が、質問をすると
「はい、そうです。通常時は保健室に送るだけですが保健室に先生がいない場合のみ授業に遅れても具合が悪くなった生徒の看護をします。授業については本人が希望すれば放課後同じ授業を先生にやってもらえるので心配はないです。」
その先生の回答に生徒たちは
「じゃあ希望しなければ授業うけなくていいんじゃん!」
「この委員会入ってラッキー!」
などと口々にしていた。
かなり生徒たちが舞い上がってしまったので、先生は少し間を置くためさっき持ってくるのを忘れたと言っていた資料を職員室に取りに行った。

「そういえばさ、なんで霙は保険委員にしたの?」昨日から何となく疑問に思っていた仁が尋ねてみると
「えっ!?え~と、楽そうだからかな」
なにか考え事をしていたのか、驚いたような声で答えた林に
「おお、同じだ」と、自然と笑顔になりながら仁は答えた。
それから昨日のメールの話題になり
そういえば…と鞄から何かをだしながらまた別の話題は切り出した。
「そだ、霙、お前があまりにも携帯下手みたいだから、昨日こんなの作ったぞ。」
そういって出した物はどうやら携帯の機能、使い方、操作方法、メリットとデメリットなどが綺麗に、丁寧にまとめられたレポート用紙が20枚ほど束ねてあるものだった。そう、仁が昨晩4時過ぎまで起きていたのはこれをつくっていたからだった。

その量と出来の良さと気遣いに
言葉を失い、しばしフリーズ状態になっていたがすぐ
「ありがとう!嬉しい!」と満面の笑みで答えた林は「うわぁ…」とか「へぇ…」など声を漏らしながら食い入るように仁が作ってきたプリントを見ていた。
林の満面の笑みに「花見てぇ…」と呟いたのは秘密である。
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