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霧が晴れる頃に

第4章 夏休み開けて


霧が晴れる頃に 73話 借り物競争

仁が100mを3位で終えたとか、楓はスプーンリレーでボールを落とさず静かに歩いていたとか、林が網ネットくぐりが異常な速さだったとか、そんな事があった後、再び慶の借り物競争がやってきた。
「じゃ、ちょっと行ってくるな」
そういった慶は今すでにスタートラインにいる。

パン!

ピストルの乾いた音でスタートを切った慶はコースにおいてある紙をとり借り物を見る。
「はぁっ!?」
なにが書いてあったのか、慶がグラウンドに響き渡る声で叫ぶ。
「誰かぁ!俺と走ってくれる女子!」
(どんな借り物だよ…)
恐らく異性と書いてあったのだろう、クラスの女子連中に声をかけている。
「霙、行ってくれば?」
クラスの女子達は『本当は行きたいのだが大勢が見てる前では恥ずかしい』
という心のうちだろう、中々立候補者がでない。
「しょーがないな~」
仕方ないと、しかし少し嬉しそうにグラウンドに出ていく。
「慶ちゃん、行ってあげる」
「ん?…あぁ林か、お前すぐでてこいよ、全く」
「なんでそんな偉そうなの!」
軽口を叩き合いながら走る2人は
競技ということを忘れている。
「あはは…」
「なんだろな、あれ」
そんな2人を見ながら大人びた組は呆れ笑いをしたのだった。
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