第4章 夏休み開けて
霧が晴れる頃に 72話 運動会 400m
歓声が轟く旭中のグラウンド
今やっている競技は1人でトラック2周全力で走り切る400m走、1人でクラスの女子の歓声を欲しいままにしているのは1年1組の運動できるデカノッポだ。
「せーのっ…雨宮君がんばってぇ~!」
4、5人の女子グループが声を合わせて応援すると、2位と20mぐらい差をつけて独走している慶は一瞬その女子グループを見て爽やかモードでニカッと笑う。
「キャー!」
「カッコイイ~!」
そんな黄色い歓声を物にしている慶をまだ1つも競技をやっていない3人は見ていた。
「あいつすげぇなぁ、色々と」
「こっち見て笑ったよ、400mなんて早い人ばっかなのに、良くそんな余裕あるね」
「慶ちゃん調子に乗ってる~」
感心してるような呆れてるような気持ちで慶のトップを見届ける。
支給される1位の旗を持ってガッツポーズで笑う慶は爽やかイケメンだ。
(あいつイケメンだったな…普段あれだから忘れるけど)
競技を終えて駆け寄って来る慶を見ながらそんなことを考えた