第4章 夏休み開けて
霧が晴れる頃に 71話 楓からメール
午後7時、仁がいつものようにコーヒーを飲みながら読書をしていると携帯のバイブレーションが鳴る。
(んー…楓?)
あまりメールなどしない相手からのメールに少々驚きながらもメールを開ける。
『明日運動会だね、がんばって』
13文字しかない、シンプルなメールが届いていた。
(なんだ…?今までこんな事なかったぞ…まぁ応援されるのは嬉しいけど)
疑問を抱きながらも取り合えず返信をする。
『おう、ってかお前もだろ(笑)まぁ精々頑張るよ』
と、返信するとまた返事が来る。
『運動会終わったら…ちょっと話したいことあるの、明日の放課後、家行っていい?』
仁は素直に了承のメールを送り、話したい事とはなにか考える。
(なんか趣味でも出来て共有する相手が欲しいとか…?でも慶とか呼ばないってことは少し秘密の事なのか…好きな人でも出来たか、でもそれ俺より霙に話した方が良いよなぁ…)
いくら考えてもこれといった答えは出ず、考えても無駄と判断し、思考を辞める。
「まっ、明日になりゃ分かるか」
仁はベッドにドサッと横たわり、軽い口調でそう言って明日の運動会に向け、眠りに落ちて行った。