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霧が晴れる頃に

第3章 夏休み後半


霧が晴れる頃に 65話 流星★

「にしても結構人集まるんだなー」
受付を済ませた慶が出場番号がかかれた腕輪を付けてプールの脇で待機していた3人に近づいて来る。
慶の言う通り、人は競泳プール全体を囲むほどの人数80人ほどだろうか、友達や家族の応援に来ていた。
掲示板のような所に張り出せたいろいろと書かれた紙を見て仁は情報を集める。

30人出場
自由形、50mを6人ずつで泳ぎ、タイムを競う
慶のナンバーは6、1レース目
表彰は3位まで、賞品は…と、そこまで見ると賞品と書いてある下の場所に『秘密★』と書いてある。

イラッ

(無駄にむかつくな…)
星のマークが気に入らない仁の耳にマイクを使った気に入らないテンションの声が入って来る。
「はぁーい!みなさぁああん!!大変長らくお待たせしましたZ!司会の流星だぜっ!今日は盛り上がっていこうぜぇえええ!」
行きなりのテンションにほとんどの人がついていけない中、流星…と名乗る若い男がマイクを使い、まるでライブでもするのかというテンションでMCをしている。
「へいっ!皆さんもうお気づきだろうか!?掲示板に賞品の内容が書かれてないことを!!今ここで発表しちゃうZ!!なんと~賞品は~……ドク…」
そこまで言って急に言葉が止まる流星、その姿を何事かと確認するとスタッフらしき人間に取り押さえられている。
「おい、なにをするっ!今発表を…え?競技が終わってから発表しろ?え?大人の事情によりですか?なんのことすか…まぁ…はい…」
取り押さえられてもマイクを離さなかった流星とスタッフのやり取りの声がマイクに入り、響き渡る。
(あのキャラ…作ってるのか…)
敬語まで使ってる事がわかり素が真面目な人間だとわかると少し面白い。
「なにやってるの…?」
「何だろー?ドクって言った?賞品それ?怖っ!」
わけが分からないという顔で言う楓と林の言葉はMCを聞いている人全てが同じ思いだった。
「じゃあ…はい…さぁみんなー!!!賞品は大会が終わるまで待ってろよ!!では!第1レースに出るみんなぁ!あつまってくれ!!」

「お?んじゃあ行ってくるな!応援よろしくっ!」
そう言い残し、人混みを颯爽と駆け抜けて慶は流星の所へ走って行った。
「…やっと始まる?」
こっそり言った楓の言葉を聞いた人はいない…
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