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霧が晴れる頃に

第3章 夏休み後半


霧が晴れる頃に 64話 流れるプールにて

「沈めっ!」
「にゃろ!こら!林!!」

日差しは薄い雲を挟み、プールに入るにはちょうど良い気温。

水泳大会が開かれるまでの約20分の間、流れるプールでのんびり流れている事にした4人だったのだが、どこがのんびりなのか、浮輪をひっくり返して遊ぶ林と慶。
大人びた組…仁と楓は元気に遊ぶ2人を視界の端に置き、1つの浮輪に器用に背中合わせで無言で乗っていると、なにも言わなかった楓が顔も視線もそのままに突然言う。
「仁、楽しい…?」
行きなり突拍子もない言葉を口にした楓の思惑を読もうとするが、顔も姿さえもも見えない為もあり全く読めない。
(なんだ…?俺機嫌悪そうにでも見えたか?)
いつも基本的に口数は少なく無表情(か、眠そう)な仁だが今はどちらかといえば機嫌は良さそうな表情と判断されるだろう。
まぁ、楓も仁の顔が見れるわけではないので表情は関係ないのだが…
「ん、楽しいけど、どうした、楓?」
「えっ…いや、なにも話さないから…つまんないのかな…って」
無言で浮輪の上に座っていた事が、何故だか不安に思ったらしく聞いてきたようだ。
「んなことないって」
はははっと笑い、楓が「そう」と返事をした頃、いつのまに時間が経ったのか林が慶を引っ張って声をかけて来る。
「おーい!そろそろいこー!」
水泳大会の時間だ、4人は大会が行われるらしい流れるプールの脇にある水深2mらしい競泳プールに向かった。
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