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霧が晴れる頃に

第3章 夏休み後半


霧が晴れる頃に 61話 波のプール

それからまず4人は林を先頭に波のプールへ行った。なんでもビッグウェーブ期間だとか。
「うわわわわわ、沈む、沈む!」
普通は波が来てない時は足が着くのだが中学生以上の条件を満たしてるにも関わらず林はちょっと深い所に行くと足が全く着かなくなる。楓も顔が半分沈んでしまうだろう。
浮輪で時折来る波に合わせて自動的に上下運動を繰り返しながらプカプカ浮いて慶が林へ浮輪を投げるのを仁は気の抜けた笑いをしながら眺めていた。
「ねぇ…なんであんたが中にいるの」
仁が入っている浮輪にしがみついて沈まない様にしている楓が不満気に言う。
「ん、変わるか…ってか楓お前泳げなかったっけ?」
記憶を辿れば普通に泳いでいる楓のはずだが今は水に沈むまいと必死に浮輪にしがみついている。
「海…海はダメなの!波も!」
平静を装っていたが楓は少しパニックになっていたようだった。(後から聞けば昔波にのまれて溺れたらしい)
「お前…先に言えよ…」
と、ため息混じりに言ってから仁は浮輪から抜ける。
仁なら首までの水面から顔をだし楓を促す。
「ほら、入れよ」
「…っ、そんなこと…言ってもっ…波が来て入れないっ!」
あっぷあっぷしている楓を見かねて仁は浮輪を持ち上げると楓に被せる。
「世話が焼けるね、お嬢様?」
すこし茶化してみれば「もうっ」と言って少し拗ねる感じな楓だった。
その時、唯一楽勝で顔が出る慶が林が入っている浮輪を引いてやって来て2人に話しかける。
「なー、次どこ行く?ウォータースライダー?飛び込み?流れるプール?」
「んー…林は?どこ行きたい?」
「もー、たまには楓ちゃん決めなよ~遠慮しすぎ~」
慶が選択肢を出して楓がいつもの様に林に決定をしてもらおうとすると意外な返事がかえってきた。
「えっ、えーと…じゃ、じゃあ、スライダーかな」
「そうそうっ!そうやって言っていけばいいんだよ!あ、霧ケ谷君もね!」
「じゃ、取り合えずそこ行くか」
一際高くそびえ立つウォータースライダーへ向かうためぞろぞろと流れるプールを出て行った。
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