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霧が晴れる頃に

第3章 夏休み後半


霧が晴れる頃に 57話 そのころ…

「あづいぃ~~~」
家庭科室でトンカツを作っている調理部は火を使うので余計に暑く、そうそうに林が弱音を吐いていた。
「…室温…37度…人間の微熱くらい…」
トンカツを揚げる油をサラダ油と間違えオリーブオイルで揚げそうになった所を林に止められた楓が妙な補足をしながら室温を林に伝える。
「うぇぇ~、何処か涼しいとこ行きたい~!」
豚肉にパン粉を付けながら林が叫ぶ。
「そう…プールとか…?」
殻を含む卵をボールに入れた楓が入ってしまった殻を取り除きながら答える。
「そうそう!プール!みんなで行こうよ」
油の中にパン粉の付いた豚肉を入れ、跳ねた油に「あつっ」と言ってから喜々として言う。
「どこのに行く?」
殻を取り除き終わり、パン粉、卵、小麦粉という見事に逆の手順で付けた楓が聞く。
「あー、この前夏祭りで行った商店街の北に行った所になんかおっきいウォータースライダーとかあるプールあるらしいよ」
綺麗なきつね色に揚げ終わったトンカツを皿に盛り付けながら情報を伝える。
「じゃ、そこでいいでしょ、楽しそうだし」
普通油を熱してから入れる物を、先に肉を入れてから火をつけた楓が納得して言う。
「いつ行く?私たちは明日OFFだけど、男バレの予定知ってる?」
先を見かねた林がいつのまに作ったのか、味噌汁を楓の分まで用意する。
「あ、確か男バレも明日OFFちなみに明後日は練習試合になってた」
昨日本をまた借りに行った楓が目にした予定表を思い出しながらほとんど衣が剥がれたトンカツを取り上げる。
「じゃ、明日、この前と同じバス停に9時ってみんなにメール送っとくね」
林は自分のトンカツを揚げるついでにハムに小麦粉、卵、パン粉を付け、トンカツの衣を上に乗せれて見た目だけでもトンカツにするために作っておいたものを楓の衣の剥がれたトンカツへ乗せて言う。

「いただきます」

楓を先読みして林がフォローするいつもの調理部の光景…
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