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霧が晴れる頃に

第2章 テスト…そして夏休み前半


霧が晴れる頃に 54話 帰りのバスで…

(眠い…)
運良く1番後ろの5人掛けの席に4人で座れたのだが、仁以外の3人は寝てしまった。
全員寝る訳にもいかないので仕方なく起きている仁だったは必死に眠気と戦っていた。
なんとなくいつもの登下校時の順で歩いていた4人は席順もそのまま入った順で運転席へ向かって仁、楓、林、慶との順番だった。
1番窓側の仁は肘を窓の枠に乗せて外を眺めて眠気覚ましに今日の事を思い出した。
(お化け屋敷入ったり、不良と戦ったり、花火見たり…林抱きしめたり…今考えるとヤバいな。ま、なにもいってこなかったし…でも楓と慶には黙っとこう)
自己完結してそのことは心の底に封印する事に決める。
すると左肩にかかる重みに気付く。
「ん?」と、左を向くと楓が頭を仁の肩に乗せている。
(はーっ!?)
心の中で絶叫をする仁の心臓は激しく鼓動を打ち続ける。
(楓ぇ…心臓に悪い…)
寝ているので自我はないはずだがそう思わずにはいられない。
スースー寝息を立てる楓を起こすのも可哀相だと諦めて今一度楓を見る。
保健室すでに見た楓の寝顔だったがあの時は必死だったため仁自身にはなにもなかったが…今は違う。
やっと落ち着いていた鼓動がまた少し早まる。
「…っ」
言葉にならない悲鳴を上げるとさっき楓を見るために変わった仁の顔の向きに寝心地が悪くなった楓は体を寄せ、身じろぎをし、更に顔と顔が接近し、10cmもない距離になる。
(近いっ!)
もうどうしようも無くなった仁はこれ以上状況を悪くさせまいと微動だにしなくなっていった。

目的のバス停まであと10分…
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