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霧が晴れる頃に

第2章 テスト…そして夏休み前半


霧が晴れる頃に 51話 はぐれて…

(案の定な…)
人混みに入ってすぐに4人はバラバラになってしまった。
仁は携帯を取りだし、人混みに揉まれているときに唯一姿を確認できた林が近くにいるだろうと携帯を取りだしメールをしてみる
『今どこ?だれか一緒にいる?』
送信するとすぐに返信がくる。
『1人。大きい木、くすの木かな?の所にいるよ、これる?』
辺りを見回すと数メートル先に大きなくすの木が見えた。
林に『向かう、待ってろ』とだけ返信をして人混みを掻き分けながら進む。

たった数メートルなのだが人数がとてつもないのと、他の人もはぐれてしまったのだろう、携帯を見ながらあちこちの方向へ進むのでとても進みづらい、それでもなんとか木の下にたどり着き、浴衣姿の小柄を探すと当てはまる人物は見当たらず、代わりに柄の悪い髪の毛を金色や茶色に染めている男集団が木の下でなにやら円を作って話している。
(柄悪りぃな…頭悪そ…)
仁が男集団を軽蔑の目線で見ていると、集団の中の絡まれてるらしい1人の少女がいるのを見つけた。
「霙っ!」
少女が林だとわかった瞬間、頭より体が素早く動きさっきの苦労はどこへやら、人の間をスルスル猫のようにすり抜けあっという間に集団の円の中に入り込み林の腕を引く。
「逃げるぞ!」
喧嘩になったら勝つことも、さらに逃げることさえもできなくなると判断した仁は後ろから男達が追いかけてくるのを全く無視し、人混みへ逃げる。
後ろを振り返ると1人だけ人混みをすり抜けた金髪の男の手が、手を引く仁の後ろにいる林の浴衣の首に届きそうになる。
(こいつだけでも足止めしねぇと!)
林の手をぐいっと引っ張り自分の後ろへ回し立ち止まって金髪男の方へ向く。
「よう兄ちゃん、こいつ俺の連れなんで、勘弁してもらえます?」
試しに言ってみたが返事の代わりに拳が仁の顔に飛んで来る。
(…ちっ)
かわすことも出来たが真っ当に戦ってたら勝ち目はない、ならばと仁がとった手段は『肉を切らせて骨を断つ』戦法だった。
飛んで来る拳を頬に受けるも、痛みを無視し、怯まず顎を狙って思い切り殴りかかる。

らぁっ!バキ!

見事に命中したパンチは金髪男がよろめくくらいの威力はあり、命中したのを確認して一撃離脱。林の手を引いてまた逃げる。

1分ほど人混みを走り抜け、人がいない丘のような所の陰へ抜けた2人は一息ついた。
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