第2章 テスト…そして夏休み前半
霧が晴れる頃に 50話 出陣
「暗くなってきたねー」
お化け屋敷から出ると外はもうすっかり薄暗い外にはいつの間にか提灯が飾られて柔らかい光が辺りを照らしていた。
「そろそら潮時か?」
仁はお化け屋敷の時楓が全てのお化けにとてつもなく反応するのでかなり疲れていた。
(まぁ…可愛かったけどさ…)
泣きそうな顔で見上げてくる楓は可愛い、と老若男女誰でも思うことだろう。
それでも消耗した仁はそろそろ帰りたい気持ちを辛うじて隠して帰る方向に持っていこうとする。
「んー7時前か、あ、もうすぐ花火やるらしいからそれみて帰ろうぜ」
慶の提案は仁にとっては最善ではないが最悪でもないので素直に承諾し、林と楓も承諾する。
「じゃ、会場はあっちだぜ」
慶に連れられ向かったのは、商店街の少し海側で広い緑地公園だった。
(人が…多い…)
花火大会の会場なのだ、多くて当たり前なのだがそれにしても多い、祭りに来ている人の半分はいるのではないかと思うような多さだった。
「慶…これ…行くのか…」
入口でごった返しになっている人混みを見ながら仁が嫌そうに言うと
「行くしかないだろ!いざ!」
「いざ!参る!」
慶も林も武士の様に言い放ち歩きだす2人に仁は
(どうやら戦に出陣するらしい)
と考えてから覚悟を決め、2人の後に続く。
楓は(これ…入れるの?)と、自信なさ気な事を思ったが伝えることもなく3人の後をついていく。
「はぐれるなよっ!」
人混みの中に入る直前に叫んだ慶の言葉はあまりにも無謀なことだとはまだ仁達は知らない…