第2章 テスト…そして夏休み前半
霧が晴れる頃に 46話 入場
真っ赤になっている2人に慶と林がやって来る。
「おぉ~、雪原さん美人!」
「…ありがと」
「霧ケ谷君!どうかな?私の浴衣!」
「ああ、うん似合うよ、アサガオ似合うんだな」
そんな会話を一通り終え、バスに乗って隣町の祭りへ向かう。
(…うるさいな、此処)
目的地に着いた仁の最初の感想はそれだった。
その祭りは普段は普通の商店街なのだろうが今は豊富に飾りつけられ屋台やお化け屋敷、ときにはプリクラの機械だけおいてあったりした。
「おー賑やかだなぁ!」
晴々とした声色で言う慶に林が続く。
「ね!早く入ろ!」
「おー!」
と、いって2人で走っていってしまった。
(まぁ、男女1組だし取り合えずいいか)
そう考えて楓を促し大人びた2人組も入口へ向かう。
入口を抜けるとタコ焼きやらりんご飴やらわたあめやらの匂いでいっぱいだった。
(慶と林は…)辺りを見回せば早速タコ焼きを買っている2人がいた。
「早速食うんかい」
呆れた様にツッコミを入れる仁に慶は「そのためにきたんだよ!」と、言い切る。
溜め息をつく仁だったが仁自身も祭りなんてもうずっと来たことなどなかったので内心楽しみだった。
「行こっ!」
タコ焼きを食べ終えた林に促され4人は歩き始めた。