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霧が晴れる頃に

第2章 テスト…そして夏休み前半


霧が晴れる頃に 43話 弁当の後

間接キスで真っ赤になっている2人を間接キスなど昔からの仲でやり尽くしている慶と林はそんな2人を(かーわいっ)と揃って思いながらそろそろフリーズ状態の2人を救うため関係ない話を始める。
慶は悲惨だった楓の料理に、普段どうやって生活しているのだろうかと疑問に思い、上手く、傷付かないよう聞き出そうとする。
「雪原さん。俺さー姉貴がいて親いないときの昼飯とか作ってもらってんだけど、雪原さんはどうしてる?」
「ん、私は妹がいておかずは妹が作って私はお米炊いてるの」
楓が気付かない程度に事情を聞き出した慶の対話能力に感心をしながら仁も話しはじめる。
「霙、本見てつくったって言ってたけどそれまで見てこなかったの?」
「うん、調理部で本見て作れって言われたから!それまではお母さんの真似して目分量だったかな!」
(なるほど…)林が上達した理由と楓が下手な理由がわかり、そこから4人の会話は弾み、家庭環境がわかってきた。

仁 一人っ子 両親共働き(母はパート)
慶 高2の姉1人 片親、父が他界
林 小4弟2人(双子) 母は専業主婦
楓 小5妹1人 父が単身赴任中
母はパート

仁がこれをきいて1番意外だったのが林に下がいることだ。
「霙って末っ子だと思ってた…」
思わず漏れた一言に林は
「そう?これでもしっかりお姉ちゃんなんだよ?」
ニコッと笑顔で言う林はやはり可愛い、作った笑顔ではない本当の笑顔と感じられる笑顔だ。
「ははっ、霙が笑顔だとなんか安心する、悪いことが起きなそうな感じ」
思ったことを自分で驚くほどスラスラ言葉にした仁に林は「なにそれー」と言いながらまた笑い、そんな穏やかな雰囲気が4人の座るベンチに心地の良い風が吹きぬける。
夏休みはまだこれからだ。
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