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霧が晴れる頃に

第1章 入学


霧が晴れる頃に 4話 自己紹介

息を切らして入った教室はすでにほとんどの生徒が座っていた。
都合よく3個並んで空いている席があったので慶を挟んで座り、一息付くと本鈴が鳴った。
すると急に教室が静まり、その数秒後に小柄で強気そうな、みたとこ30代の女性が入ってきた。
「はい!私がこのクラスの担任の五十嵐(いがらし)です、担当教科は英語。座右の銘は自給自足!」と、伊勢いよく自己紹介をした女性は黒板に自分の漢字を書くべくチョークを持った。
「な、なんか強烈な先生だな…」
「自給自足って…」
「五十嵐ね…確かに五十の嵐のような先生だ…」
などと3人で会話をこそこそしていると
「はーい。じゃあ入学式までまだまだ時間あるんで、自己紹介やっちゃおっかー。じゃ、出席番号1番から、えーと、雨宮!」
行きなり指された慶は
「ふぁ、ふぁい!」と情けない声を出したが
「雨宮慶です!松林小学校から来ました!好きな教科は理科と体育嫌いな教科はそれ以外!1年間よろしく!」
などと、やはり爽やかに自己紹介をすると
「おー、雨宮、英語は嫌いなのかー?そーかそーか。お前要注意人物だな。」
と、英語担当らしい、五十嵐が皮肉混じりに感想を言ってのべたると、少し教室で笑いがおきた
「えー、そんなー。」と慶が文句を言ったが五十嵐は気にせず
「はい、つぎ~2番はえーと……」
と、自己紹介を続けさせた。
仁は自分の自己紹介を無難に終え、ボーッと窓の外を見ていた(林は出会った時のようにテンパっていたので慶がたしなめ早く自己紹介を終わらせた)が知っている名前が耳に入ったのでそっちを向くとそこには楓がいた。
「雪原楓…1年間よろしく…」
とだけ言ってもう座ってしまった。
(同じクラスだったのか…相変わらず無愛想なやつ…)と、仁が思っていると雨宮が「お、おいおい、仁、お前あの子知ってるのか?小学校同じみたいだけど」
(なんだこいつ、やけに反応してんな)
「あぁ、知ってるよ、委員会同じだったし。」
「へえ、そっかぁ。そっかぁ~」
そんな慶の反応に仁は少々疑問を持ったが、そんな話をしていると、
「はい!全員回ったねー。じゃあちょうど時間だから廊下並んでー、入学式行くよ。」
と、五十嵐に言われ廊下にぞろぞろ並び、体育館に向かった。
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