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霧が晴れる頃に

第2章 テスト…そして夏休み前半


霧が晴れる頃に 35話 林の見舞い

「ふーん、大変だったねぇ」
さっき仁に向いてもらった林檎をシャリシャリ食べながら楓を家まで送り、見舞いに来た仁と慶に呑気に言う。
「…雪原はあんなだったのにお前はこれかよ…」
慶が呆れたようにいえば林が「なによ、よかったじゃない元気で」
と、文句を言う。その林を無視して
「あ~あ、雪原さん可愛かったなぁ~頬っぺた赤くしてさ少し汗ばんでたりして、仁ってばおでこに手ぇ当てちゃってさ、ずるいなぁ~」
もの惜し気に言う慶を仁はギリギリ頭を締め付けて言う。
「お、ま、え!どこ見てんだボケ!でこに手当てたのは体温確認…ってお前なんで知ってんだよ!」 
「えー、だって五十嵐ちゃんとバッチリみてんもーん。駆け込んで来たのはえ、ん、ぎ」
形の悪い星が飛び出そうなウインクをラストにかます慶を仁は少し人生のラストにしてやろうかと考える。
そんな恐ろしいことを考えている仁に林檎を食べ終えた林が叫ぶ。
「ええええええー!おでこに手当てて計ってたの!?なにそれ!ずるい!私も私も!」
と、先ほど仁に林檎を向くようねだったのと同じように仁にせがむ。
仁はといえば(まぁ、病人だし…それくらいは…)と、楓の手と繋がれていた右手ではなく左手で林の額に触る。
(普通…か?)熱があるのか微妙な温度の林の額は楓のものとは違う感触があった。
「…満足したか?」と、仁がなんでこんなことやっているんだという疑問を持ちながら聞けば林は嬉しそうに「うん!」と頷き仁は嬉しそうだから良いかとそれ以上なにも言わない。
そんな二人のやり取りが終わるのを待っていた慶はワクワクしながらまた余計な質問をする。
「で?で?仁、寝て身動き取れない雪原さんになにしたの?ねぇねぇ」
本当はずっと手が繋がれていたのだが楓から握って来たのもあり(あれは無し…見られてないし)と自己完結しながら
「なにもするわけねぇだろうがぁああああああ!!」
そういって慶の額に仁の肘が炸裂するまで後2秒…
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