第2章 テスト…そして夏休み前半
霧が晴れる頃に 29話 違和感、そして…
テストが終わり、部活が再開されいつも通り朝練を終えた仁と慶は当番で回ってきた保険委員の仕事をすると慶に伝え、先に教室にいってもらった。
仕事を終え、教室に入ると最初に机に肘をあごに手をついて本も読まず座っていた楓だった。
(あれ…本読んでない?)
なにか違和感を感じたのもつかの間、チャイムが鳴り自分の席に座った仁は隣に慶の向こうの席に林がいないことに気付いた。
「慶、霙は?」
英語の授業中、こっそり慶にそう尋ねて見れば最近流行っている風邪だそうだ。暑くなったり寒くなったりするこの時期では珍しくはなくクラスでも他に2人ほど休んでいるようだ。
放課後、林の様子を見に行くという慶にくっついていくことにし、1時間目が終わったら楓も誘ってみようかと考えていた頃、五十嵐の英語の授業の最中に
ドタンッ!
と、大きくなにかが倒れる音がする。
その『なにか』は学年トップの成績を誇る、髪の長い、小柄な、仁の入れるコーヒーが大好きな雪原楓だった。
「楓っ!!」