第2章 テスト…そして夏休み前半
霧が晴れる頃に 26話 勉強会
そして1ヶ月後の6月上旬、梅雨に入りしてまもない時期、約2週間後に控えるのは中間テストだ。
授業中に五十嵐とキリ…いや、八雲からしっかり勉強するようにと釘を刺された慶は頭を抱えて仁の前で机を挟み座っている。
今、もはや一般的にイツメンと呼ばれるメンバー仁、慶、林、楓で霧ケ谷家で勉強会を開いていた。
「え?マイナスにマイナスの数字をかけるとプラスになる?なにそれ?やったっけ?」
バッチリ授業で昨日やったのだが…
(林の理解力に問題があるのか記憶力に問題があるのか、そもそも話しを聞いていないのか…)
いつもの癖で分析を続けながら仁はお得意のまとめ能力でノートにわかりやすい加法、減法、乗法、除法。それぞれの計算の仕方を林に渡す。
「へぇー、こんなんあるんだ~」どうやら話しを聞いてないようだ、と判断できる発言をした林に対してやや呆れた仁の隣で、少々イライラしているのだろう、机で指をトントン音を発てている楓が慶を睨みつけていた。
どうやら林より話しは聞いているのだが集中力のない彼は物を教わるという行為が苦手らしく、その特長は物を教える時の楓とは相性最悪であった。
(まずいな…)そう判断した仁は楓の精神安定剤であるコーヒーを入れることに決め、少し休憩しようと提案してからキッチンに向かった。