第2章 テスト…そして夏休み前半
霧が晴れる頃に 25話 希望と絶望の帰り道
「って感じの部活だった」
帰り道、待ち合わせをしていた林と楓に合流し本日の部活内容をあらかた説明した慶は調理部はどうだったかと聞くと
「あんまり作っても食べきれないから平日は簡単なお菓子とかつくるみたい。持って返れるし!」
と、嬉々として話す林はこれからの部活が楽しみでしょうがないようだった。
「お前の殺人的なチョコレートの味は忘れない…」
…恐らくいつかのバレンタインの話しだろう、恨みの篭った言葉を呟いた慶だが、林は勘違いしたのか「そんな褒めんないでよ!また、作ってあげるから!」と上機嫌で答えれば慶は諦めたように首を振り、「上達することを願うよ…」と、調理部に入った林に淡い期待をかけたようだった。
1番右端に立っている仁の左にいた楓がぼそっと、仁だけに聞こえるように
「…私も…作ってあげようか…?」
と、小首をかしげ見上げてきた楓は、男なら誰でもときめく可愛さで、仁は隠せない動揺を見せながらも
「おっ、おぉ、頼む」と、答えながら(この楓はヤバい…)と、決して人に知れてはならない言葉を胸の奥底で呟いたのだった…