第1章 入学
霧が晴れる頃に 21話 明日から
慶と林はよほど気に入ったのだろう、結局あのあと楓と仁は4回ほど同じ曲を弾かされ2人ともへとへとになってやっと元の位置に座った。
「はぁ~すごかった~」
「俺あんなのやったら指つるな」
そんな感想を漏らす林と慶の前に座り、話題をそらす…いや、戻す。
「で、霙、なんでクラブチームのこときいたの?」
「うん、明日から体験入部始まるじゃない?さっき楓ちゃんとみんなで一緒に回ろうかって話しをしてたの、それでなにかクラブチームでやってたらそこいきたいのかな~?って思って聞いたんだけど、入ってなかったのね」
(どうやら、明日から俺は色々な部活にこの4人で回るらしい…)
メンバー不満はないが、バッチリ帰宅部になるつもりだった仁は少しだけ億劫になったが、断れるわけもなく承諾する。
「じゃ~今日はほんとはそれだけ言いに来たの。コーヒーごちそうさまでした!バイバ~イ」
と、疾風のごとく慶を引っ張って帰っていった慶と林を呆然と見送り、楓も少し遅れて「お米炊かなきゃ」と言って仁に別れを告げ帰っていった。