第1章 入学
霧が晴れる頃に 18話 コーヒーが美味しくなるまで 送っていくと…
楓の家に着く待での5分間、2人は色々なことを話した。
「霧ケ谷君?長いから仁でいい?」
「あ、勿論、じゃあ俺も楓って呼ぶね」
と、名前の呼び方の変更や
「本、いっぱいあったね」
「あ、うん。なかなか金かかるけどね」
「ねぇ、服返すときなにか借りてって良い?」
「うん、オススメ貸すよ」
と、次の約束まで取り付けた頃に楓の家に着き2人とも
「じゃあね…ありがとう」
何故かお互いにお礼を言い合ってその日は別れた。
その後、学校では変わらず無愛想で、口数の少ない2人だったが、たびたび楓は仁の家に着て本を貸し借りしたりピアノを2人で弾いたりしていた。
この時だけは普段より多くのことを話し、楓の男嫌いな理由だの、仁がピアノをやっているのは親のせいだのと、お互いを知っていった。
仁は楓が来ると必ずコーヒーを煎れた。
人に煎れるとなると、気を使うので仁はコーヒーを煎れるのがどんどん上手くなっていったのだった…