第8章 エピローグ
霧が晴れる頃に 150話 笑う
「じゃ、1年1組に、カンパーイ!」
机を中央に寄せ、大きなテーブルを作りそこにいろいろな種類のお菓子やジュースが置かれた。
五十嵐の机の前には缶ビールが山ほど積んである。
「ノンアルコールだよな?」
仁が怪訝そうに五十嵐に聞くと曖昧に「まぁ」とか「ん」とか返事したとか。
そんな五十嵐はさておきクラスメイト達は楽しくて仕方がないらしく、椅子を寄せ合い、頭を寄せて話し込んでいる。
そんなクラスの中で一段と盛り上がっているのはやはりいつものメンバー。
最近冬花も強制的に加えられているが。
「次のクラス替えどうなるのかなぁ~」
「そうね、いまきっと職員会議で必死に話し合われてるね」
「私…また皆と一緒がいいな…」
「わっ!なに冬花ちゃん!嬉しいこと言ってくれる!!可愛すぎっ!」
そういって冬花をギューと林が抱きしめるが慶が不満そうに林を引きはがす。
「なによ~、ヤキモチ?慶ちゃんにも抱き着いてあげようか?」
「馬鹿ね、林、雨宮君は冬花を取られたくないのよ」
「え、ええ!?」
驚きの声をあげる冬花に慶と冬花以外の一同は笑い出す。
慶は不快そうに頭を掻きむしるが気を取り直して林を弄り始める。
「ところでさ、林」
「え?」
「仁と雪原さんだろ?俺と冬花だろ?恋人いないのお前だけだぞ!」
「うるさい!!知ってたよ!気にしてたよ!!いいもん!来年頑張るもん!ね!霧ケ谷君!」
「俺にふるのか、まー、大丈夫だろ…」
「なにそれ!なんか雑!」
「なぁ霙、今お前楽しいだろ?」
唐突に何を聞かれたのか驚きつつも林は答える。
「え?あ、うん。凄く楽しいけど」
「なら、焦って恋人つくることない」
「う、うん!そうだね!さすが霧ケ谷君!」
「でもいた方がもっと楽しいぞ~」
イマイチ気に入らないらしく慶が唇を尖らせて言うが
「雨宮君?今良い感じでまとまったから黙ってて?」
と、楓に威圧をかけられてしまう。
「なんか日に日に俺への扱いがひどくなってくなぁ」
「そ、そんなことないよ!みんな雨宮君大好きだよ!」
と、必死に大好きな彼氏のメンタルを守ろうと声を出す冬花に…
「…冬花、マジ天使」
「あ、慶ちゃん、それ同意」
「じゃ、ついでに私も」
「流れで俺も」
「えっ?え?」
またしても驚きの声をあげる冬花に一同は笑う。
そんな楽しい会話はずっと続いた。
