第7章 霧が晴れる時
霧が晴れる頃に 144話 約束
「あっはっは、霧ケ谷、お前最っ高!」
五十嵐が大笑いしながら手をうつ。
「おい、仁!なんなんだよ!冬花とゲリラ反対方向にいるじゃねぇか!!」
丸椅子に座っている仁に慶が抗議する。
「いやぁ、まさかあんなに反応するとはな、ははははは!」
勝ち誇り、珍しく声をたてて仁は笑った。
「仁!セコいぞ」
「いいだろ、それだけ好きって冬花に伝わってよかったろ?」
「んなことしなくても平気…なに言わせんだ!大体なんで先生もあのタイミングで止めんだよ!」
慶が文句を言うと五十嵐が一言。
「面白いだろ?」
教室の真ん中で行っているやり取りにクラスメイトは漫才を見ているように笑っていた。
それに釣られ言い争ってた慶が笑い、仁も笑った。冬花は恥ずかしそうに身を縮めていたが。
「よし!じゃあ優勝は霧ケ谷!おめでとう!」
五十嵐が強引にまとめ、椅子取りゲーム…もといお別れ会を終わらせた。
そのあと、椅子を片付けた楓が仁に話しかけた。
「仁…ちょっと今日行っていい?」
「ん?おう。わかった」
「5時くらいにコーヒー入れて待っててね」
「はは、言うようになったな」
「じゃ、後で」
それだけ言って林と冬花のところへ戻って行った。
(何だろうな、ま、なんにせよ楽しみ…だな)
と、仁は微笑んだ。