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霧が晴れる頃に

第6章 春へ…


霧が晴れる頃に 139話 嘘

「…て、感じだ」
慶と林に詰め寄られ、仁と楓が付き合った時の流れを所々ぼかしつつ、説明し終えた。

(思い出してみたらメッチャハズい…)
自分の言った言葉を正確に思い出した仁は最近見せることのなかった赤面を晒している。
楓もまたしかり。

もう付き合って半年(9月の運動会の放課後から現在2月まで)もたっているのにまだまだ初々しい2人に林と慶はニヤニヤしていた。

流れを変えようと楓が本題へ戻す。
「ほら!雨宮君の告白でしょ!私が思うに伝える言葉は単純でいいと思う」
「霧ケ谷君への告白も『好き』だけだもんね~」
相変わらずニヤニヤしながら林がちゃちゃを入れる。

「林、黙って。だからえっと、他に考えることは日にち、これもバレンタインの時に告白すればいいと思う」
「そういえば仁、お前らバレンタインどうしたんだ?なにもきいてなんだが」
「黙れ慶」

鋭い眼光で慶を睨み黙らす。

仁は遠い目をして(塩入りチョコは初めてだったなぁ)と、思い出していた。

「じゃあ慶ちゃん、あとは告白の仕方だね、告白で定番の屋上とか体育館裏とか入れないし」
林がそういうと全員考え初めるが、中々良い案が浮かんで来ない。

「な、なぁ、告白やめないか?場所がないんじゃできねぇよ、な」
なんて慶が急にへたれなことを言い出すしまつ。

仁は慶の弱気な姿勢を崩そうと口を開く。
「あー、そういえば旭中にもあるらしいぜ、告白スポット」
仁が言ってみれば食いついたのは慶ではなく林。

「なにそれ!?聞いたことない!!」
「あー、校舎裏の百葉箱とかあるとこあるだろ?あそこの大きい楠木、あの下で告白すると必ず成功するとかなんとか」
「えー!?そんなのが!じゃ、そこでしょ!決まり!」

林が嬉しそうに盛り上がって、ぴょんぴょん跳ねているのを眺めていると楓が耳打ちしてくる。
「嘘でしょ」
仁は平然とした顔でいう。
「嘘だ、そんなとこあったらバレンタインとホワイトデーは混み合ってしょうがねぇだろ」
「確かに、同じ人に被ったりもするかもね」
「そしたら修羅場だな」
と、面白がりながら仁と楓ははしゃぐ林と逃げ場を失った慶を眺めていた。
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