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霧が晴れる頃に

第6章 春へ…


霧が晴れる頃に 134話 観賞

突然慶は、ガクッと膝をおり、座った。

「あー、終わるといてぇな、やっぱ」
元気過ぎて忘れていたが慶は右太ももを撃たれている。戦闘の緊張感で痛みを忘れていたようだ。

「お前はそこでおとなしく座ってろ」
仁はそういうとゲリラ豪に先生に今の状況を伝えるように指示し続いて楓のとこに行く。

先ほどまでカタカタ震えていた楓だがもう安心したのだろう。大きく息をついていた。
「怖かったか?」
「怖いよ!怖くない人いないでしょ」
「はは、そりゃそーか」
楓の訴えにカラカラと笑い、続いて林を見る。

泣いて赤くなった目を擦り、興味津々でなにやら教室の後方を見ている。
仁も釣られて見てみると慶と冬花がいた。

「あ…雨宮君、ありがとう。足…大丈夫?」
「冬花、ゴメンな、怖い思いさせちまって」
そういうと慶はぺこりと頭を下げた。

「え!全然!助けてくれたのにそんな!頭あげて!」
頭を下げる慶に必死に首をふり、なんとか頭をあげさせようとしている。

「いいやっ…あ、冬花お前怪我してないか?首ナイフ突きつけられてたろ。見せろ」
慶は冬花の首に顔を近付け、じっと見つめた。
「あ、雨宮…くん…ちょっと…ち、ちかい」
「じっとしてろ」
慶にそういわれさっきとは違う意味で涙目になっている冬花。

そんな2人を生暖かい眼差しで見つつ、仁と林は話す。
「慶ちゃんさー、なんだかんだいって他人にあそこまでするの初めてなんだよねー」
「ん?」
「自分押し殺して人の為になにかするの、さっきは初めて見るキレ具合だったし、今は足痛い癖に冬花のこと気にかけてるし」

そういわれ仁は思い出す。
(林がさらわれた時は…うん、あんなキレては無かった、余裕があったな…)
勿論、状況の深刻差も違うが、1番慶を長く見てきた林が言うのだからそうなのだろう。

「もしかして…?」
「もしかするかも」

仁と林は2人がどうなるのか、映画でも見るような気持ちで観賞していた。
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