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霧が晴れる頃に

第6章 春へ…


霧が晴れる頃に 133話 良くねぇな

「いいや、良くねぇな」
仁の背後から赤雲の声が聞こえる。

いつのまにか復活したのか赤雲はよろよろと立ち上がりピストルを構え仁に向けた。
「取り合えずテメェは死ね!」

先ほどの様に勿体振らず、赤雲は引き金をすぐに引いた。

しかし、仁はそんな赤雲を冷めた目で見ていた。



カチッ

ピストルからカチッと金属同士がぶつかり合う音だけ聞こえる。

赤雲が持つシングル・アクション・アーミーは総弾数6発。あらかた何処かの警官から奪ったであろうピストルにリロード用の弾などない。

3発コンビニ強盗に使い、教室に入ってまず威嚇に1発、慶にあたったのが1発、蛍光灯にあたったのが1発。
合計6発。つまり弾切れだ。

「あれ?」
間抜けな声を出した赤雲の背後に巨大な影が立ち、おもいっきり振りかぶって赤雲を殴り飛ばした。

「うげっ」
おかしな声を出して倒れた赤雲を慶が踏み付ける。

「はっ、ざまぁみろテメェ」
いつもより黒い性格になっている慶に少し笑いながら仁はガムテープを切り取り目やら首やら手首やら足やら。とにかく隅々を縛る。

仁と慶の、完全勝利だ。
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