第1章 入学
霧が晴れる頃に 13話 鉢合わせ
2人を自分の部屋に連れていく仁は無口だった。
(さて、こいつらが楓を刺激させないようにするには…)
そんなことを考えているとは思いもしない慶は
「なー、仁の部屋2階?広い?」
などと、騒がしく聞いてくるが
「行けば分かるだろ」
の一言で黙らせ思考を続けたが入口から仁の部屋までそんな距離があるわけもなく、部屋の前に着いたが、仁がそこまでの恐るべき頭の回転で見つけた最善策を行うことにした。
2人を少しだけドアの前で待たせ、部屋の中で他に人が来ると聞いて少し動揺していた楓に
「楓、今そこに霙とけ…雨宮慶がいる、なるべく静かにさせるから、少しいいか?」
楓の表情は動揺から緊張に変わっていった。
仁はそれだけ言うと今度は部屋を出てまず林に
「中に雪原楓がいるから、あんまり騒がしくすんなよ。」
と言った。
(2人いっきに行くより片方ずつの方が楓もまだ気が楽だろ、女子だし)そんな考えを持った仁は次に、林と一緒に部屋に入ろうとした慶を呼び止め
「お前は俺を手伝え」
(こいつは余計なこといいそうだからな…俺といた方が安全だ…)
と思い、4人分のコーヒーを入れるため、慶とキッチンに向かった。