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霧が晴れる頃に

第5章 冬へ…


霧が晴れる頃に 123話 慶の作り上げたステージ

取り残されて呆然としていると楓の白い携帯がバイブレーションする。
『雨宮君』と表示されているメールを開いてみるとやけに長い文章が書いてあった。
『雪原さん?寂しそうにみえたけどもしかして今日お邪魔だったよね…お詫びに甘えやすいようステージ作っとくからね。

P.S 仁は甘えられるの大好きだ、絶対。やり過ぎって思うくらい甘えてやれ(笑)』

メールを読んだ楓は見破られてた恥ずかしさやら、追伸の(楓にとっては)過激さやらで顔を赤く染めていた。

(雨宮君…やめて…)
顔を手で覆い、よろよろと仁のベッドに座り込む。

すると今度は仁の携帯がバイブレーションする。
『おいこら仁!雪原さん元気ないぞ!気付いてるか!?』
短いメールを4秒で読みきった仁は(俺が楓の不調に気付かないなんて)と、思い半信半疑で楓を見れば確かに微妙に赤らめた顔でグッタリしたようにベッドに座っている。

「楓?大丈夫か?顔赤いぞ」
仁は楓の頬に手をあてるが、良くわからないとでもいいたげに首を傾げ
「んー?」
と言って楓の前髪を持ち上げ、己の額と楓の額をくっつける。

(…じっ、じん、顔近い近い近い!!!)
さっきと違い赤らめるどころではなく真っ赤になった顔と急激に上昇した体温を感じながら声にならない悲鳴を上げていた。

「少し熱いな…」
すっかり楓の具合が悪いと勘違いした仁はいつかの保健室でやったように看病モードに入る。
「楓、楓。なにかしてほしいことあるか?」
あの時と違い意識のある楓に聞くとここで楓の学年トップの頭脳はやっと機能回復した。
(雨宮君…こういうこと…ね…はずかしいけど…で、でもチャンスだしっ!)
決意した楓はずっとやってみたかったことを声に出した。
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