第5章 冬へ…
霧が晴れる頃に 121話 勉強中
「楓ちゃん、ここは~?」
「ほら、やったでしょ?xに代入するの」
林と楓は机を挟み、数学を丁寧にやっている。
「仁、なんか問題出してみろ答えてやる」
「んー、世界最古の現存する木造建造物は?」
「長谷寺!!」
「堂々と間違い言うなっ!しかも長谷寺って!」
仁はベッドに座り、慶は床に座り込みダラダラと社会やら理科やらの暗記ものをやっている。
「じゃ、霙、わかるか?」と、仁が林にふると
「えっ…と…ほうがんじ?」自信なさげに林が言う。
「あ、あー…言いたいことはわかる…法隆寺な」
「あー!!もうちょっとでわかったのに!」
手をブンブン振り回し騒ぐ林を楓がなだめ数学の問題に戻っていく。
仁は理科の教科書をパラパラめくりながら次の問題を探す。
「慶、ガスバーナーの使い方の手順をだいたいでいいからいってみろ」
「まず、心を開く」
「元栓を開け馬鹿」
「コックさんを動かす」
「料理するな、コックを開くんだよ」
「人間界に光を与える」
「お前は何者だよ、ライターをつけろ」
「ネジを回す」
「なんのネジだ?」
「頭」
「頭のネジが抜けてるとかやりたいのかお前、ガス調節ネジな」
「点火!」
「どこにだ?」
「心に」
「ガスバーナー使う人の心になにがあったんだよ」
「火が青くなるまで空気調節する」
「なにで?」
「エアコンっ!」
「贅沢…空気調節ネジを回せ…てか、なにやらせるんだ馬鹿」
つい乗ってしまった仁と満足気に仁を見下ろす慶、カラカラ笑う林とクスクス笑う楓。
他の誰かが見たらこう思うだろう。
仲良しだな。と…