第5章 冬へ…
霧が晴れる頃に 120話 勉強会へ
「ねぇ!ここわかんない!!教えて!?あっ、こことここも!これも!」
学年末テストが近付いて来た頃。やっと危機感を得た林は楓に助けを求めている。
林に言われたところを問題をみてあっという間に解いて行くがかなりのページ数だ。
(この量を林に教えるには時間かかるかな…)
これは骨が折れそうだと少しだけ憂鬱になった後、後ろの方の席で単語帳をパラパラとめくっている仁を見る。
実は今日、仁の家に行こうと思っていたのだ。仁とはあの遊園地の日以来二人きりであっていない。故に恋人らしいことがなにも出来ていないのだ。
それで今日、仁の家に行き、勇気を出して自分からすこしは甘えてみようかと今朝決心したのだった。
その時間を密かにドキドキしつつも楽しみにしていたがこうなっては仕方ない。
「じゃあ今日林の家に行って…」と、そこまで言ったときに後方から聞きたかった声が聞こえた。
「林の家じゃ空と海がいて勉強になんねぇだろ、うちこいよ」
いつのまにか仁が楓の後ろにいる。話しを聞いていたらしい。
「やった、霧ケ谷君の家久しぶり!」
「美味しいコーヒーでるしな!」
喜ぶ林に株って慶の声が入ってきた。
「うわっ、慶。お前勉強すんのかよ」
「するしっ!勉強くらいするさ!」
「どーだかな」
飽きれ顔で言う仁だったが、結局いつもの4人で勉強会をすることになった。
(仁の家…うれしいけど2人がいたんじゃな…)
楓は複雑な気持ちだった。