第5章 冬へ…
霧が晴れる頃に 114話 歌の練習は…
そして始まる歌の練習。
本来こちらがメインだ。
伴奏の方はまだCDで流しているので仁は大人しくクラスの練習を傍観していたが…
「雨宮君!それ本気!?」
「俺はいたって真面目だよ!?」
「なにお前音痴キャラ?」
「いやこれ慶ちゃんの素、才能」
と、慶の音痴差にガヤガヤするいつもの4人組。
慶以外にも音程が外れてる人が数人いるとみたが誰だかわからないと判断し、ゲリラ豪が指揮台の上に登ってから、ある発表をした。
「このままだとなにを直さなきゃいけないのかわからないから1人ずつテストします!1列に並んで!!」
「えー!?」「やだー」と文句を垂れるクラスメイトだったがなんとかゲリラの前に並び、指定されたところだけ小声で順番に歌い進める。
「よし…問題ないね…次…んー、ここだけ外れてるよ、気をつけて」
着々とチェックを進める豪だったが、慶の順番が来ると頭を抱えた。
「雨宮…お前どうしような、はぁ」
「えっ、ちょっため息とかやめてよ、そんなひどい?」
慶が抗議すると後ろに並んでいる生徒達(主に男子)から声を揃えて言われる。
「かなりひどい!!」
「よし、雨宮お前保留、次」
豪は諦め、次へ進める。
「お、霙さん上手いね!美声だ。雨宮に教えらんない?」
林に淡い期待をかける豪だったが「慶ちゃんの音痴は筋金入りだよー、直んない」という言葉に期待は砕けて消えた。
それからチェックを進め(楓は蚊の鳴くような声で歌っていた)誰が問題かハッキリした。
「まぁ真っ先になんとかしなきゃいけないのは雨宮だな」
豪は慶をピッと指差し言い放つと慶はうなだれブツブツとなにか文句を言っているが誰も気にしない。
すると楓がなにか思いついたのか豪のところに歩いて行きなにやら話しはじめた。
話し終わった豪はほっとかれてざわついたクラスメイトに楓の提案を言ってみる。
「雨宮は指揮者にしないか?」
つまり、歌わなくて済む指揮者を慶にして『足手まとい』を無くそうというのだ。
クラスメイトは即効賛成したのだった。
解決