第5章 冬へ…
霧が晴れる頃に 108話 ライトアップ
それから2人は色んなアトラクションを周り、気付けばもう日は落ちようとしている。
良く晴れていた本日は日中は冬のわりには暖かく、ポカポカしていたが、やはり冬、日が落ちると気温は急激に下がる。
ヒュウっと吹いた風に身をふるわせると、ほとんど離されることなく握り握られ続けていた手に込められる力が強くなったのを感じた。
「寒いか?」
楓に聞いてみるとやはり寒いらしく控えめにコクリと頷く。
以前ならば無理にでも隠してしまう楓だったが、ちょくちょく無理をする楓に仁が根気強く、辛かったら言ってくれと言い聞かせた成果である。
(まだ、聞かなきゃ黙っているけどな…)
自分から言ってくれる日はいつ来るかと、またその日まで一緒にいられるかとぼんやり考える。
「じ、仁、見て!」
ん?と前を向くとクリスマスだからだろう、赤、黄、緑、青、紫と色鮮やかな電飾がイルミネーションとして光り出される。
「凄い…綺麗…」
見とれる楓の口から自然に漏れた声を聞くと仁は楓の手を引き、あるところに向かった。