第1章 入学
霧が晴れる頃に 11話 楓と約束
そんな授業を終えた仁は
(あの八雲とか言う奴は見た目より計算高いな…砕けたことを言って親近感をだそうとしている…。
んで、学力に関しては慶と豪はそこそこ馬鹿か…林は結構いいな…楓は多分クラスで1番だな…)
今は10分休憩、今日の授業らしき授業は今の社会だけで次は学活だった。
なので、気の抜けた空気の教室で仁は机に肘をのせ手で顎を支えて慶と豪に失礼な分析をしていた。
仁の分析はかなり正確である。昔からのくせでいまだにやってしまうがあったばかりの人を把握するには重要な能力だった。
仁が小学校で孤立した状態になっているにも関わらずイジメがなかったのはこの能力を持っていたのが大きかった。
隣で慶と林がなにやら悪巧みをするような顔で話していたが気にせず眠そうな顔でいると前から背筋を伸ばし、少し浮くほど大人びた空気を漂わせる女子が近付いて来た。
「なんだよ、楓」
「…この前借りた本いつ返せばいいか聞きに来たの」
「あぁ…じゃあ今日取りに来いよ…外でるの嫌だし」
「ちょっと、女の子に取りに来させるの?」
「こさせる」
そんな短い会話を淡々と話していたが楓が折れて
「もー。じゃあ今日取り行くね。家、出ないでよ」
「わーったよ。」
そこで会話が終わり楓は席に戻りなにやら本を取りだし読み始めた。
ふぅ…と、ため息をついた仁は
次の授業までの短い時間机に突っ伏しって過ごした。