第5章 冬へ…
霧が晴れる頃に 104話 挨拶
約束の時間にはまだ早過ぎたのだが、楓はすでに家の前で壁に寄り掛かり、ソワソワした様子で時折自分の髪やら服やらをチェックしていた。
「おはよ」
「うん…おはよ」
仁が落ち着かない様子の楓に挨拶をすれば待ち侘びていた仁が来た嬉しさから自然にフワッと微笑みながらシットリとした挨拶が返って来る。
予想外にいきなり不意打ちを喰らった仁は内心ドギマギしながらもここで黙ってしまったらなにも進まないと閉じてしまいそうな口を開く。
「いこっか」
仁に促され2人は歩いていく。
行き先は仁しか知らないのだが、楓は聞くこともせずただただ仁についていった。