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霧が晴れる頃に

第5章 冬へ…


霧が晴れる頃に 103話 冬の中で考えた

踏み締める霜柱がサクサクと心地好い音がする。
その音色に自然と微笑み、思わず息を吐き出せば息は白く、目に見えるようになり一瞬で消えていく。

左ポケットに感じる重さは今日の日の為になれない雑貨店を物色し用意した小物の重さ。

本日12月25日

楓の告白から約3ヶ月。慶と林にはあっさり知られるも他のクラスメイトには知られることもなく付き合ってきたが、たまに仁の家に楓が来てピアノを弾いたりコーヒーを飲んだりと…付き合う前と行動としてはなんら変わったことはなかった。

勿論、互いが互いを好きであることは伝わって来ている。しかしそこそこ長い付き合いであり、気恥ずかしくて恋人らしい会話には発展しない。

そんな進展しない、見ていてじれったい様な2人だったが今日は冬休み初日にしてクリスマス。
恋仲同士でこの日になにもしないということはあってはならぬ事、ましてや付き合いたて(まぁ3ヶ月は中学生の中では十分長いが、大人びたカップルなので…)ならば尚更。

昨日の帰りに仁はしっかりと今日のデートの約束を取り付けた。

朝の10時に向かいに行くと告げ、今、楓の家へ徒歩で向かっている途中。

時間は9時30分

少し早く出過ぎたな…と、考えるが遅れるよりは数倍マシだろうとゆったりとしたペースで歩く。

楓の家までに行く途中に、嵐山を見掛けた、同級生だろう、1人の女子と腕を組み歩いている。

嵐山には前に1年以上付き合っている彼女がいてその彼女の魅力やらなんやらを覚えるまで聞かされたことがある。

おかげでその嵐山と腕を組んでいる彼女が前情報と一致するのか良く確かめる事は出来た。

仁が抱いた感想は(多少美化されてる気はするな…まぁ人それぞれか)との事だった。

好きになってしまえば余計そうなのかも知れない。と、自分の彼女の事を考えれば付き合う前より更に可愛く、美しく感じるのもその影響だろうと少し自分自身に苦笑する。

そして楓の事を考えるとなお一層会いたくなり仁は歩を速めたのだった…
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