第4章 夏休み開けて
霧が晴れる頃に 101話 アイス
調理部の楓と林に夕食を振る舞ってもらい、食べきった男達だった(味の方は林の手柄によりおいしかった)。そろそろ空と海が目を擦り出す。
「眠い?」
中学生4人はダイニングのテーブルでお菓子やらを食べながら談笑していたが林が眠そうな弟達に気付き声をかける。
「眠い~…」
「疲れたぁ~…」
新しいゲームをやり続けていたがさすがに小4の体力では持たず、眠気が襲ってきたらしい。
時間は9時。そろそろお開きにしようと仁が言い出せば楓が思い出す。
「あ!アイス…!」
「あ、食うの忘れてたな、でも海と空もう寝ちゃったし…霙、明日渡しといてな」
「んじゃ、取り合えず俺らだけでも食うか」
慶の提案で食べることに決まると林はすぐに音符マークが出そうなステップで冷蔵庫へ取りに行く。
しばし無言でアイスを食べる…
(まぁ、霙も家だとお姉さんだな…俺らといると小さい子に見えるけど…)
ミント味のアイスを食べつつ今日の林について考えているといち早く食べ終えた慶がなにやら言い出す。
「このアイスって雪原さんが買ってきてくれたの?」
楓が渡したからそう思ったのだろうが、それは間違いだと言おうと、棒アイスを口から離す。
「仁と一緒に買いに行ったの」
楓は真実を言っただけだし、なにも悪くはないのだが、その言葉を聞くと仁は頭を抱え、林と慶は目を輝かせながらも瞳が悪戯っ子モードに変わった。
「スーパーに一緒に買いに行ったの、へぇ~なんだか夫婦みたい!」
「なんだか夫婦みたいだねえ」
目を爛々とさせて同じことを重ねて言う林と慶に仁はなにか言い返してやろうと脳を回転させるが言い返す言葉が見つからない。
楓は例の如く赤くなって固まっている。
(夫婦って……言われた…)
こんなことを考えながら…