
第2章 お好み焼き
確かに服部くんは刑事さんの息子さんだった。脳裏にお父さんの顔が浮かぶ。ヤバい。謎のトリップをしてから知識が枯渇していることに気付いたわ。被弾したくないから公式の情報を見るのは全て避けていたんだっけ。
パトカーの後部座席にドカンと腰を下ろした服部くんを見る。「座ってええよ?」と言われたけど流石に近くに座ることはできなくて手前に腰を下ろした。でも雑談は続けたほうがいいのでとりあえず聞いてみる。服部くんはいま恋愛に何パーセントくらい興味があるかを。
「あ、ねえ、ぐるナイの『お見合い大作戦』って番組知ってる?」
「お見合い?ああ、それなら昨日見たで」
服部くんがテレビっ子でよかった。
「あの中に出てくる異性へのアピールが上手くできない子って応援しちゃうんだよね」
「あー確かにわかるわ」
箸にも棒にも掛からない、テキトーな会話を続けていく中で気づいたことがある。
服部くんは洞察力があるので人と人の好意に気づきやすいようだ。告白タイムのとき男性の視線の動きを見てこの人はだれに告白するとか私は意識しながら見たことがなかった。さすが探偵さんって感じ。だがその代わり、自分の心の機敏にはあんまり詳しくないのが彼の特徴だったような。
「モテる男の家にだけ女が集まって、モテない男の家には誰も集まらないの映すの可哀想すぎひんか?」
「わかるーいきなり異性の家族と候補の女性たちを合わせるのもちょっと強引だよね、まあ番組を盛り上げるための演出なのかもしれないけど」
その証拠に、雑談のあとちょっと含みを持たせて「服部くんが恋愛リアリティーショーに出るなら私も出るよ」と言うと
「?口説きたい男とかおるん?」って真顔で言ってきた。
どうやら私の好意には気づいていないし、何も察してくれてはくれていないようだ。このやりとり、敢ちゃんで見た。私を意識させるにははやり男性側から惚れてもらうしかない。
正直それが一番難しいと思っている。
困った。作戦を変えてコナンくんたちに接触したほうがいいのかな。
「なぁあんた、いつまで『服部くん』呼びすんの
もう初対面じゃないやろ?もっと馴れ馴れしく平次って呼び!」
「...平次?『平次くん』って呼んでいいの?」
「おお!その方がええやろ。同級生やしなまえで呼んでな」
「うん平...次?くん...?
これからもよろしくね
ああごめん、この呼び方慣れないや」
