第18章 朝
ああ。
帰ってきたのだ。
この笑顔のそばに。
「……そんなに嬉しいのか」
「うん!」
迷いのない返事だった。
「だって、ずーっと会いたかったんだもん」
脹相は、たまらなく愛おしいものを見るように目を細めた。
「……俺もだ。ずっと、お前に会いたかった」
「……ふふっ」
私は嬉しくなって、また彼の胸元に顔を埋めた。
「……帰ってきてくれて、ありがとう」
「ああ。ただいま」
脹相は今度こそ、ためらわずに私の背中へ腕を回した。
ほんの少しだけ強く抱きしめる。
もう少し、このままでいたい。
もう少しだけ、離れていた時間を埋めたい。
そんなささやかな欲を胸の奥にしまいながら、彼は私の髪をゆっくりと撫で続けた。
しばらく二人で抱き合っていると、ふと思い出したことがあった。
「……ねえ、脹相」
「なんだ?」
「どうして急に帰ってこられることになったの?」
脹相は少し考えてから答えた。
「……五条が動いてくれたらしい。学長とも話をしてくれたようだ」
「五条さんが……」
思わず目を細めた。
五条は私の保護者だ。
普段はふざけてばかりいるけれど、本当に大切な場面では、いつだって私のことを考えてくれる人だった。
今回もきっと、いろいろと動いてくれたのだろう。
「……あとで、お礼言わなきゃ」
そう呟くと、脹相が頷いた。
「俺も礼を言った。……お前を守ってくれたことにもな」
「……そっか」
その言葉が嬉しくて、私は微笑んだ。
私の大切な人たちが、私の知らないところでも私のことを考えてくれていた。
それが何よりも嬉しかった。
けれど、脹相は少しだけ表情を曇らせた。