第18章 朝
朝。
カーテンの隙間から差し込む柔らかな光に、ゆっくりと意識が浮上した。
「……ん……」
目を開けると、すぐそばに見慣れた顔があった。
「…………」
脹相だ。
昨夜、帰ってきてくれた脹相。
夢じゃない。
そう思った途端、胸の奥がじんわりと温かくなった。
一か月ちょっと。
会いたくても会えず、声を聞きたくても好きなときには聞けなかった。何気ない会話も、一緒に食べるご飯も、眠る前に交わす「おやすみ」も、全部が恋しかった。
そんな日々が、ようやく終わったのだ。
「……ちょうそう」
小さく名前を呼んでみる。
返事はない。まだ眠っているらしい。
少しだけ乱れた髪も、穏やかな寝顔も、何もかもが愛おしい。
……会いたかった。
本当に、会いたかった。
私はそっと身を起こし、脹相の顔を覗き込んだ。
「……えへへ」
嬉しくて、自然と頬が緩む。
目が覚めたら脹相がいる。
それだけのことが、こんなにも嬉しいなんて。
気づけば私は、彼の上にまたがるような格好になっていた。
そのまま、そっと胸元に手をつく。
「……脹相」
もう一度、名前を呼ぶ。
すると、彼の眉がわずかに動いた。
ゆっくりと目が開き、寝起きのぼんやりとした瞳が私を捉える。
「…………?」
数秒、何が起きているのかわからないという顔をしていた脹相だったが、やがて目を見開いた。
「……っ、?」
「おはよう、脹相!」
にこっと満面の笑みで告げる。
「……お、おはよう……」
声が、わずかに裏返っていた。
けれど、そんなことは気にも留めず、私は嬉しくてたまらないというように彼の胸元へ身を寄せた。
「ふふ、脹相だぁ……」
「……あ、ああ。俺だが……」
「ほんとに帰ってきたんだね!」
ぎゅうっと抱きつく。
その瞬間、脹相の身体がぴたりと固まった。
「…………」
自分の上に乗り、心から嬉しそうに笑っている彼女。
身体に伝わる、たゆんとした柔らかな重み。
そして、胸元に寄せられる温かな体温。
「…………っ」
脹相は、思わずごくりと喉を鳴らした。