第17章 安眠できると思ったのに
……困った。
本当に、困ったことになった。
彼女を腕の中に抱きしめたまま、俺は暗い天井を見つめていた。
久しぶりに帰ってきた家。
久しぶりに隣で眠る彼女。
それだけで、胸がいっぱいになるはずだった。
実際、最初はそうだった。
彼女の体温を感じ、髪の匂いを感じ、腕の中に収まる身体を確かめる。
ああ、帰ってきたのだと。
ようやく、この温もりを取り戻せたのだと。
そう思っていた。
……つい先ほどまでは。
「……ん……」
彼女が小さく身じろぎし、俺の胸元へ頬をすり寄せた。
無意識なのだろう。
俺の背に腕を回し、逃がすまいとするように身体を寄せてくる。
可愛い。
それはもう、どうしようもなく可愛い。
問題は、そこではなかった。
……柔らかい。
いや、彼女が柔らかいことなど、知っている。
抱きしめれば温かく、腕の中にすっぽりと収まる。頬に触れれば柔らかいし、手を握れば小さな手が俺の指を包み込む。
そんなことは、今さら驚くようなことではない。
だが。
……あまりにも、柔らかすぎないか?
ふと、そんな疑問が頭をよぎった。
俺は彼女を起こさないよう、そっと背中に手を回した。
その瞬間。
「…………」
手のひらに伝わる感触に、思考が止まった。